T0な位相群はHausdorff空間であることの証明

位相群というのは群構造の入った位相空間で、演算

{ \displaystyle
G \times G \to G ; (x,y) \mapsto x y^{-1}
}

が連続になるようなもののことです.

今日は位相群がT0であればHausdorff空間になることを示します.

補題位相群Gの任意の部分集合Aと単位元eの任意の開近傍Uに対し { \displaystyle \overline{A} \subset UA}となる.

証明:Uを{ \displaystyle U \cap U^{-1} }などと置きなおすことによって,Uが対称({ \displaystyle U = U^{-1} })であると仮定することができる.{ \displaystyle VV \subset U}なるeの対称近傍Vをとる.

もし{ \displaystyle AV \cap (AU)^{C}V \neq \emptyset }であればそこから元zが取れる.ここで

{ z = av = bw , a \in A, b \in (AU)^{C}, v,w \in V}

と表せる.すると{ \displaystyle b \in AU }となってしまい矛盾する.よって

{ \displaystyle A \subset AV \subset ((AU)^{C}V)^{C} \subset AU } であり,{ \displaystyle (AU)^{C}V}が開集合であることから{ \displaystyle \overline{A} \subset AU}が得られる.(証明終)

定理:T0な位相群GはHausdorff空間である.

証明:GがT1(1点集合が閉であることと同値)でありかつ正則であることがいえればよい.GがT1であるというには1点集合{e}が閉であることがいえればよい.

Gの元で単位元ではないものxを任意にとる.GはT0なので,

(1)eの開近傍Uでxを元に持たないものが存在するか,

(2)xの開近傍Vでeを元に持たないものが存在する.

仮に(2)が満たされたとすると{ \displaystyle e \in xV^{-1} かつ x \notin xV^{-1} }となり(1)に帰着する.単位元とは異なるGの各点xに対して(1)のようなUを対応させ,それらのユニオンを考えることで一点集合{e}の閉なることがわかる.よってGはT1空間.

任意の単位元の開近傍Uに対して{ \displaystyle \overline{V} \subset U }なる単位元の開近傍Vのとれることに注意しておく({ \displaystyle VV \subset U }なるものを取れば良い).

Gの閉集合Fとそれに属さない点xが与えられたとする.{ \displaystyle x \in F^{C}}なので e は開集合{ \displaystyle x^{-1}F^{C} }の元.

よってeのある開近傍Vが存在して{ \displaystyle \overline{V} \subset x^{-1}F^{C} }となる.

{ \displaystyle \overline{xV} = x\overline{V} \subset F^{C} }となる.

よって閉集合Fと点xは,開集合{ \displaystyle (\overline{xV})^{C}とxV }によって分離される.

以上により位相群Gは1点集合が閉な正則空間となり,Hausdorff空間である.(証明終)

なんかちょっと2つ証明打っただけなのにめっちゃつかれた.ところどころ端折ったのでたぶん読みにくいです,ごめんなさい.